第63期王将戦七番勝負第4局

毎度、忘れた頃に観戦記を書くH-Iですこんばんわ。今回は渡辺二冠がタイトル戦初となるゴキゲン中飛車を投入した1局です。

いつぞやに「最近のタイトル戦は振り飛車が無くてさみしい」と書きましたが、渡辺二冠が振り飛車を指すとは思わなかったですね。しかし渡辺二冠のゴキゲン中飛車は別に見たくはなかったなあ、、というわけで、本局は銀対抗形になりました。

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この銀対抗の形から、振り飛車穴熊になればちょっと見てみたいなあ、とささやかな願望をもって見ていると、組み上がりは下図になりました。

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うーん、、先手も後手も持ちたくない局面になりましたね。

 

とにかく先手も後手も玉が薄すぎですよね。どちらを持ちたいかと言えば、居飛車で押さえ込みの方が楽なんじゃないかなとは思いますけどね。こういう展開で振り飛車側を持つと息苦しさがありますよね。

そして上図から4五の桂跳ねを事前に避ける▽2二角(ここは▽1一角もあるらしいです)に対し、飛車先を交換してなんと▲2五飛!

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今回の王将戦は、2,3局と▽8五飛が出ましたが、本局も先手番とは言え中段飛車が出るとは思わなかったですね。

狙いは5五にさらに1枚利きを増やしての▲5五銀だと思いますが、1筋を詰めている形なので▽1三桂が無いから成立しているみたいですね。そこまでして▲5五銀としたいのかという気もしますけど、2枚も歩越し銀の悪形で繰り出している以上、やるしかないのですかね。

そして▲5五銀から銀交換をした後の次の手が印象的でした。

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これは5四の銀を6五に出たわけではなく、6五に銀を打った局面。2歩両取りではありますが、指せない手ですね。銀が狭すぎで取られそうな上に、この銀が活きてくるとしてもかなり先な気がしますからね。

そして少し進んで、今度は羽生三冠に印象的な手が出ます。

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それがこの▲7九角!うーん、これも指せない手ですね。具体的には▲8六歩▽同銀▲7六歩の銀挟みの時に、5五の銀を取られて▽8七銀と打たれるのを防いでいるというような事かと思いますが、実際に銀挟みを決行するのかと言われると微妙そうですよね。

結局、特に決行せずに今度は3筋から仕掛けます。

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それが▲3五歩▽同歩▲4五桂からの▲3四銀打!▲3四銀打自体は重くて指しづらいですが、なるほどこういう仕掛け方があるんですね。勉強になります。

そして以下、飛車先突破を果たした先手が優勢になったものの、どう決めるのかなと思っていた局面で指されたのが下図の▲2一角!

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これも見えない手ですね。自分なら手が見えないのでぼんやり▲1三龍くらいだったと思いますが、▲2一角以下は▽3一金▲4三角成▽3七歩成に▲5三銀成となっては勝負有り。

最終的には▲7九角は壁形を改善して右辺の守りに利いてきたので、悪手ではなかったようですね。まあ角というよりは銀のような使い方ですが、この▲7九角を抱えたまま勝ったのは、素晴らしいなと思います。

それにしてもどうせ振り飛車を指すのであれば、是非タイトル戦で渡辺流四間飛車穴熊を指して欲しいなあ、、というわけでまた!