渡辺流四間飛車穴熊 その5

<前回のあらすじ>
ついに実戦投入した渡辺流四間飛車穴熊だったが、どうしても想定局面にならなくてやきもきするH-I!さあどうなる中盤戦!?

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さて、上図は一足先に桂跳ねの局面。よく分からなかったので、まあとりあえず角を転回してみることに。

 

以下▽7二金寄▲1六歩▽5一角で下図。

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ちなみに想定局面は下図です。見比べてみてください。

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▲3七桂が先に入っているので、▽5一角に▲5九角が必要でもない感じ(▽7三角に▲5九角でも間に合う)ですね。手持ちの歩も無いので、そもそも角の転回に3筋攻めがプラスできないのでイマイチな感じ。

とは言っても、先手がどう指すかも分からなかったですね。実戦は以下▲2六飛?▽7三角▲2七飛で下図。

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▲2六飛はあらかじめ3筋に備えたものかと思いましたが、1手パスだったのかな?しかしこう指されてみると、次に▲2四歩があるため困りました。仮に▽8四歩とかだと、以下▲2四歩▽同歩▲同飛▽3七角成▲2一飛成と進んで下図。

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これはさすがに駒の働きが大差で駒損こそしてないけど居飛車優勢ですね。というわけでやっぱり▽5一角と戻り、再度の▲2六飛に▽8四歩で一手パス返しをしてみたところ▲7七角とされてみると次の▲6五歩が危ない!ということで▽3三角!!

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はい、大転回失敗のカムバック角です。うーん、1歩手持ちにあれば動けそうなんですが、その1歩を手に入れるところが無いですね。▽1五歩から強引に、とか不可能ではないですが、ここはまだ自然にいきたいところですよね。

やはり自ら動くには、四間飛車穴熊側から争点を作る▽6四歩から▽6五歩しかなさそうです。というわけで結論としてこの渡辺流四間飛車穴熊は、自ら動けないので超受け身戦法!ですね。運良く一歩交換してくれればラッキーというところでしょうか。

とは言っても後手番なので、受け身でもいいかなというのもあります。実戦はここから先手が仕掛けてきました。それが▲3五歩▽同歩▲4六歩!の仕掛け。

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以前にも紹介したことがある仕掛けですが、5七銀+3七桂型を最も活かす仕掛けと言えるかもしれません。ただし、右銀が4六に出る展開は居飛車穴熊としては不本意と思います。

以下▽4六同歩▲同銀に待望の反撃▽7五歩!

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いつもは▽6四歩型なので▽6五歩ですが、この形では▽7五歩が急所。早いですが手応え有りです。以下▽5五歩で銀が死んでしまいましたが、用意の反撃がありました。

それが▽7六歩▲8六角の交換を入れてからの▽3六歩!

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石田流でよくみる手筋ですね。これが銀取りかつ桂取りになるという仕組みで、▲3六同飛としても4六の銀が取れますね。そこで先手も暴れてきました。

▲2四飛!▽同歩▲4四歩▽同飛▲3五銀で下図。

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まず飛車を角と交換して銀を生還させれば、銀取りが残って駒得ということですね。しかし、以下あっさり▽4九飛成として▲5四歩▽3七歩成▲5三歩成で下図。

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この局面、一見駒損で5三にと金を作られているので振り飛車悪そうにも見えますが、実は必勝形なんです。一段飛車+▽7六歩型は、それだけで必勝!と言っても問題ないです。

先程の攻防で銀桂交換の駒損ですが、7七になんでもいいから打ち込めば振り飛車優勢は間違いが無いので、歩以外の駒があれば桂だろうが角だろうが関係なかったんです。

というか打ち込むだけなら安い駒の方がいいわけで、この局面では銀より桂が手持ちの方が優るということだったんですね。

というわけで以下▽7七桂で完勝の一局でした。問題はやはり、先手が動いてくれないと動けない受け身戦法であるということ、この一点でしょうか。もう一度、勝負所の図を再掲。

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まあ▽4三飛の形は悪いですが、居飛車もそこを咎めるのは容易ではないと思いますね。今回よくわかったのは、歩が手持ちでないと動けないということ。どこかで▽6四歩から▽6五歩を狙うのはありそうでしたが、▲8六角の形では角で取られてしまうので無理。

▽3三角▲7七角の局面なら可能ですが、▽4三飛型のまま角交換になるのはまずいので、▽4二飛とかするようでは間に合わないでしょうね。

しかし後手番専用と考えれば悪くないと思うので、また使ってみたいと思います。それでは今日はこのへんで。また明日〜!