前回の続きで、やや劣勢の中盤戦。
ただし、四間飛車穴熊という戦法自体がそもそも「やや劣勢」なのではという気がずっとしてるH-Iですこんばんわ!
対人間ではほんの少し不利な方が、心理的に勝ちやすいというのがぼくの中ではあるので、そういった意味では悪くないかと。「やや劣勢」だけど最善をつくせば「見た目ほどは悪くない」という絶妙な感じ、これぞ四間飛車穴熊。
さて本譜。かるく形勢判断をすると、①玉の堅さは居飛車優勢、②駒の損得は居飛車の桂得、③駒の働きはほぼ互角。以上、やや劣勢。
さて、ここでの第1感は▲8九歩で、以下▽同龍▲4九飛▽8八龍となってくれれば1歩で飛車を遠ざけ、次に▲4四歩から攻めることができそうなのですが、、
どうしても気になるのが、▲8九歩に▽8二龍と引かれた場合。飛車が4五のままでは▲4四歩とは指しづらく、飛車を引くようでは▽4四歩でジ・エンド。やはりここでいくしかないですね。
というわけで▲5二銀!
しかし冷静に考えると、ここで先に▲4九飛と引くのが最善だったような気がします。というのも、ここから▽4四歩▲4九飛▽3三桂▲5五歩(下図)と進みます。
さらに以下▽5五同歩▲5四歩▽同金▲6三銀不成と食いつくのですが、、
明らかに▲5二銀〜▲6三銀不成が一手無駄になってますね。だったら最初から▲4九飛▽4四歩▲5五歩▽同歩▲5四歩▽同金▲6三銀だったのかなと。
この一手損のために後手の▽3三桂が入ってしまったわけで、普通は形勢を少し損ねたように思えるのですが、後ほど意外な展開に。
そして上図から▽4三銀▲5四銀成▽同銀▲5二金と再度の食いつき。
持駒が残り歩1枚で、切れかけ寸前。以下▽7一角▲4二金▽同金▲同馬▽4三金!に▲6四馬と撤退を余儀なくされて受け切り濃厚に(涙)
そしてさらに追撃の次の一手が実にしぶい一手でした。
それがこの▽8二角! 指された瞬間、うわぁ、、負けました。という一手。
▲同馬▽同龍では勝負所が無くなるので馬をかわすしかないですが、なんと▲7四馬しか異動先が無いという状況。▲7四馬に▽5六歩と指されたらもう投了という感じですよね。しかし、、
実際に指されたのは、謎の▽4五桂打。先程の一手損の為に▽3三桂が入っているのにもかかわらず、▽4五桂打。
まあでも以下▲3八金引▽2六歩▲同歩と利かせるだけ利かせて▽5六歩なのかと思いきや、実戦の進行は最後に▽5七桂成!
▽5六歩に▲同馬を嫌ったんでしょうか? 何にせよ、一瞬のチャンス到来!
▲8三歩!▽7一角から▲4二歩!
なにはともあれ▲8三歩で角道をそらしたのは大きい一手。そしておまじないの▲4二歩。▽同金には▲6四馬▽5三銀▲9一馬くらいを読んでいましたけど、微妙な感じですね。
実戦はここで▽5八銀!の攻め合い。
確実に飛車を取ろうという一手ですね。苦しいけど、働きの少ない飛車が銀と交換になるのならまだ許せる感じ。
以下▲4一歩成▽4九銀成▲同金▽9九龍▲5九歩に、▽4五香で下図。
ここは本格的にチャンス到来という感じ。次の▽4九香成がなんでもないですからね。とは言え、相手玉への攻めもいまいち続かなそうなので難解な局面。
そしてここからの指し手が我ながら湾曲的な指し回し。以下▲3一銀▽1三玉に▲4七歩!
さっき「▽4九香成が何でも無い」と言った直後に受けに回るのはおかしいですが、まあつまり攻め駒が足りないので、4七地点で精算してもらいながら馬を4七に配置したいということ。
そして▽6五歩なら▲6四馬で、銀を取れば▲2二銀打があるのでなんとかなりそう。実戦は4七で精算をして、▲4七同馬に▽2八歩▲同玉▽9七龍▲4六馬▽3五歩▲4二とで下図。
これは完全に逆転!だと思ったんですけど、ここで▽4五金!
それにしてもこの4五地点に一度も3三の桂を跳ねてこないんですよね。なんでだろう。まあたしかにこの金打ちもなかなか厳しい手で、受け方に迷いますが、、
▲3七馬▽3六金に▲3八金打!▽8八飛に▲4八香打!
何度か指してわかったのが、このボナンザ先生、あまり終盤が強くないです。中盤は相当に強いのに、なぜか終盤になると明らかに読み抜けしている時があったりしますね。
てっきり終盤の一手争いの速度計算の方がコンピュータは強いと思ってましたが、終盤にいくほど手が広く、速度計算と言っても、どの手順とどの手順を速度比較して良いのかとかが判断しづらいんでしょうか?
指してみた感じのこのボナンザ先生は序盤R1700、中盤R2400、終盤R1900というイメージ。もちろん詰みだけは完璧なので要注意ですが、こんなに中盤に偏っているとは思いませんでした。
そして本局のように「相手に王手が掛かる形で、相手に攻めさせる」というのが勝ちやすいです。不思議と、考える要素が多い局面の方が間違えてくれる気がしますね。まあ人間も同じと言えば同じですけどね。
本譜は以下▽3七金▲同桂に▽3四金と手を戻し、▲4五桂▽6七角と進みました。
突然受けに回ってきたボナンザ先生。まあ攻防の角と言えば角ですけど、この手がおそらく始まりだったのではと思います。そう、地平線効果の。
コンピュータは、どう指しても不利な局面で何を指して良いか分からなくなってしまい、変な手を指すことがあるらしく、それを地平線効果だとか水平線効果と言うらしいです。
まあまだこの手は普通に見えますが、以下▲3九金寄に▽8三龍。
まあ方針転換と思えばまだ納得できますが、以下▲1六歩に▽7六角成?
これははっきり意味不明ですよね。しかしこの局面、勝勢だと思ってたけど、めちゃくちゃ駒損してますね。大駒全て居飛車が持ってますし、、
どうりで最後まで評価点が悪かったわけですね。形勢判断の基準が、駒の働きと玉の安全度だけですからね。以下先手勝ち。
というわけで、、総評としては「ボナンザ先生は中盤がやけに強い」。しかし中盤が相当に強いので、大差を付けられて力が出せずに負ける展開が多く、なかなか勝ち越せないですね。
これで終盤が強いのがPonaXとかなんでしょうね。とりあえず中盤の研究にはかなり使えることが分かったので、色々な四間飛車穴熊の定跡を深く掘り下げていこうと思います。
四間飛車穴熊の定跡は、脇システムのように比較的指し手が制限されていて研究しやすいイメージでしたが、ボナンザ先生と指して見て、ほんの少しの形の違いで、考えたこともないような指し手がかなり埋もれていると実感しました。
特に何年も定跡があまり進化していない戦型だけに、穴だらけな気がしますね。これで定跡のさらに上を行く手順を編み出し、将来的にはPonaXを導入し、それに勝ち越せるようになってA級入りを目指すぜ!オーー!