電王戦リベンチマッチ 人類敗北で終了

残念ながら、朝食休憩直後の習甦の一手で勝敗が一気に決してしまいました。20時間かけて積み上げてきたトランプのピラミッドが、一瞬で崩れ去るような感じでしたね。非常に悔しい敗戦です。

というわけで、今回の対局を最初から振り返ってみたいと思います。

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戦型は意表の相矢倉へ。菅井五段の3九の銀が明らかに用意の作戦といった感じで、この後▲3八銀から棒銀へ。

 

そして▲1五銀に▽2二銀と手筋の受けを見せる習甦ですが、菅井五段は1歩損で強引に銀交換へと持ち込みます。それが▲2四歩▽同歩▲2三歩!

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序盤早々の一歩損に、早速不安感が高まります。

1歩損の代償に銀交換に成功、さらにその後、角交換にも成功した直後の▽4九角。

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脇システムのような角打ちで、ここに先着されるのはかなり嫌な感じがしますね。手筋の▲1六角などが検討されていましたが、菅井五段の指し手は▲4六歩!

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ここに手が伸びるとは、とても振り飛車党とは思えないですね。後手陣の急所を突いた好手だったと思います。

以下▽6四銀に▲4五歩▽同歩▲4四歩▽同金▲7一角▽4二飛と進み、そこでどうするのかと思っていたら、、▲5二銀!

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この手を見た時は、早くも「勝った!」と思ったものですが、習甦は冷静に対応します。

以下▽6九銀!▲6八金寄▽4六歩!▲6三銀成に▽4七歩成!

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全て手抜くとは凄いですね。6四の銀を犠牲に、どんどん進撃してきます。

以下▲6四成銀に、▽5八とかと思いきや▽3八とを選択。

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▽5八とだったらどうやって受けるのかが気になりましたが、▽3八となんですねえ。うーん。

以下▲1八飛に、本局の習甦で一番印象に残った一手が出ます。それが▽1二玉!

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先手に手がないと見ると、すぐに自陣整備に入るんですよね。これが最終盤で活きてくるんですよね。この手を見た菅井五段は2時間を超える長考に入り、そして指した一手は▲9六歩!

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お互いに玉の間合いを計る、しぶい手の応酬。しかしながらこの一手の長考で、菅井五段の持ち時間が一気に減ってしまって深夜戦に突入してしまいました。

以下は再び▽4三金引!と一手パスのような手を指す習甦に対して、▲4四歩▽同金▲5一銀▽4一飛▲6九金▽6七角成▲5二銀!とスパートをする菅井五段。

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再びの▲5二銀を見て、またしても「今度は決まった?」と思ったものでしたが、ふわりと▽4三飛が好手。

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なかなか技が決まりません。習甦は本当に強いですね。

以下▲4三銀成▽同金▲7二飛▽3一銀▲6二角成と進んで下図。

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先手攻め駒はいっぱいあるものの、かなり重い感じです。そしてここからの習甦の指し手も地味ながら印象に残ります。

と書いたものの、この▲6二角成くらいで寝ちゃったんですけどね。多分深夜4時〜5時の攻防だったのではないですかね。

以下▽2九と!▲5三成銀▽3三金寄▲4二銀不成に▽1九と!▲7八飛と進みます。

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この忙しい局面で桂香を拾う余裕があるのが凄いですね。しかしこの手順は飛車が生還するので、あまり良く無いようにも見えますね。そしてこの局面でぼくが再び目覚めたのですが、評価点が菅井五段のマイナス500点くらいで「あ、やっぱりまた寝ようかな」と思ったのは秘密です。

以下▽7六歩▲同銀▽6六馬▲7七歩▽4二銀▲同成銀▽同金▲5一馬▽3二金寄に▲6八飛!▽4四馬と進んで、本局のハイライトの局面。

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ついに自陣の飛車が敵陣に直通し、なにかあれば優勢になりそうだけど、決まりそうで決まらない感じの局面に見えましたが、ここで菅井五段の渾身の一手が炸裂!(この時、朝6時)

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一瞬、「え? 大丈夫!?」と思ってしまいましたが、これが逆転への一手。▽同馬には▲3三馬があるので▽4三馬ですが、そこでさらに▲3三馬!!

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▽同馬に▲3四銀!!!

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これが翌朝6時台の指し手ですよ。この時の興奮はハンパなかったです。そしてここで一気に評価点が菅井五段のプラス99点にまでなり、観ている人全ての眠気が吹っ飛んだ一瞬ですね。

しかし以下▽2二馬に▲3二飛成!と指した手が、おそらく敗着と思われる一手。

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局後の菅井五段も、読み切れずに指してしまって悔いが残る一手と言っていました。観戦している人たちもこれが決め手になるのか、それとも敗着になっているのか、ほぼ全員が疑心暗鬼だったと思いますが、ここはただひたすらに決め手と信じて応援をするのみ。

さらにこのあたりで持ち時間が10分を切り、朝食休憩の7時まで菅井五段が逃げ切れるのか?という妙な空気の6時50分台の手に汗握る攻防。

そして飛車を切ったあとに、さらに角も切り、お互いに金銀を打ち合ってよく分からない局面で朝食休憩に突入しました。

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とりあえずは、なんとか休憩時間に逃げ切ったという感じでしたが、もう終局は目前のこの局面。菅井五段は休みも取らずに盤の前で考えていましたね。

そして8時の再開直後に、習甦が決定打を放ちます。上図より▽4二金▲同成銀に▽2五角!!

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どうやら朝食休憩の間に検討室で発見されていたようで、解説の瀬川五段もこの手によって先手の負けとなることが分かっていたような感じでしたね。

しかし、こんなにぼんやりした角が決め手になっているとは、、 この手の意味は、▲2一銀不成からの▲3四桂を防ぎながら、▽4九角成▲同飛▽4八飛の王手成銀取りを見ているんですよね。

さらに1分将棋の菅井五段は読みに無かった手のようで、手の意味を理解してそれに対応した最善手を読む時間は無く、まあとりあえず指すなら▲3六歩、という感じでが、そこで追い打ちをかける▽1四歩!

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再び先手に手が無いと見ての自陣整備。本局は、▽1二玉とこの▽1四歩が印象深い手でしたね。

以下は20分ほど戦いは続きましたが、無念の投了となりました。投了図がこちら。

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無念です。どんなに良い将棋であっても、この電王戦は将棋ファンだけでなく、むしろ将棋の知らない一般人へと発信されるものなので、結果が全てとなってしまうのが本当に残念です。

ただひとつ言えることは「この時間設定だけはもうやめようね」ということですね。観ているだけでもしんどかったです。でも、本当に白熱した将棋で良かったです。

というわけで、、また!

 

↓棋譜を置いておきます。

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右 △4二銀 ▲7八金 △3二金
▲6九玉 △4一玉 ▲6七金右 △7四歩 ▲2六歩 △3三銀
▲7七銀 △5二金 ▲7九角 △3一角 ▲2五歩 △4四歩
▲3八銀 △4三金右 ▲2七銀 △7三銀 ▲2六銀 △7五歩
▲同 歩 △同 角 ▲1五銀 △2二銀 ▲2四歩 △同 歩
▲2三歩 △同 銀 ▲2四銀 △同 銀 ▲同 角 △2三歩
▲6八角 △3一玉 ▲7九玉 △4二角 ▲8八玉 △2二玉
▲2四歩 △同 角 ▲同 角 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩
▲2八飛 △4九角 ▲4六歩 △6四銀 ▲4五歩 △同 歩
▲4四歩 △同 金 ▲7一角 △4二飛 ▲5二銀 △6九銀
▲6八金寄 △4六歩 ▲6三銀成 △4七歩成 ▲6四成銀 △3八と
▲1八飛 △1二玉 ▲9六歩 △4三金引 ▲4四歩 △同 金
▲5一銀 △4一飛 ▲6九金 △6七角成 ▲5二銀 △4三飛
▲同銀成 △同金引 ▲7二飛 △3一銀 ▲6二角成 △2九と
▲5三成銀 △3三金寄 ▲4二銀不成△1九と ▲7八飛 △7六歩
▲同 銀 △6六馬 ▲7七歩 △4二銀 ▲同成銀 △同 金
▲5一馬 △3二金寄 ▲6八飛 △4四馬 ▲4五銀 △4三馬
▲3三馬 △同 馬 ▲3四銀 △2二馬 ▲3二飛成 △同 馬
▲4三金 △同 馬 ▲同銀成 △3一銀 ▲5三角 △4一金
▲3一角成 △同 金 ▲3二銀 △2二銀 ▲4二金 △同 金
▲同成銀 △2五角 ▲3六歩 △1四歩 ▲3五金 △6七歩
▲同 銀 △8五香 ▲7六銀 △6七歩 ▲2八飛 △4九飛
▲2五飛 △3三金 ▲2四歩 △3二金 ▲3四金 △7九銀