今回からは地下鉄飛車の亜流とでも言うべき「角田流」と呼ばれる指し方を、岡崎五段対鈴木五段の実戦譜で研究していきたいと思います。
まず「角田流」とは下図のような構えのことを言います。
地下鉄飛車風のスタートから、8筋で1歩を手にするのが角田流です。ちなみになんでこの指し方が角田流と言うのかは、ちょっと調べてみたのですが分かりませんでした。
過去に角田さんというプロ棋士がいらっしゃったようですが、「角田流ひねり飛車」と呼ばれる戦法を作ったことまでは記載がありましたが、本戦法との関連性は発見できず。まあ名前的にめずらしい名字だと思うので、その角田先生が考案したのではと思っています。(由来を知っている方がいらっしゃいましたらご一報頂けると幸いです。)
というわけで本戦法、ぼくの知るプロの実戦は2局しかないのですが、この将棋以外にはあの広瀬王位が誕生した王位戦第2局で、深浦王位が角田流を投入して勝利した1局です。深浦王位のもの凄い迫力の指し手が印象的でした。その将棋は次回検討していきますが、まずは角田流の狙い筋にずっぽりハマった鈴木五段の将棋から。
出だしはオーソドックスな後手四間穴熊対先手地下鉄飛車。
以下▽4三銀▲2五歩▽3三角に▲8六歩!と8筋を伸ばすのが角田流の骨子。
狙いは8筋を角で1歩交換しながら手順に▲5七角と引くことです。
実はこの局面、早くも角田流第1の狙い筋が生じているのです。実戦の鈴木五段は▽8二銀と指してしまいましたが、そうすると、、
▲2四歩▽同歩▲2三歩!
これが角田流第一の狙い筋で、飛車先の突破が受かりません。1歩を手にして引き角にすると、こういう狙いがあるんですね。
ちなみに実戦は、以下▽7四歩▲2四角▽7五歩!と強引に玉頭戦に持ち込んだ鈴木五段の逆転勝ち。
なんだかんだで玉が薄いのが弱点ですが、これが角田流の狙い筋です。ちなみに先程の仕掛けの局面よりもう少し駒組みが進んだ段階の下図。
具体的には▲3七桂の形になっている場合ですが、ここでは▲2四歩▽同歩▲2三歩以外の仕掛けもあります。
それが▲2四歩▽同歩▲2五歩!の継ぎ歩攻めです。
以下▽同歩には▲同飛!とします。
以下▽2四歩に▲同角!としてしまえば2筋はもう受かりません。
以下▽2二飛が受けの手筋ではありますが、この場合は継ぎ歩によって2五の飛車にヒモが付いているのがポイントです。
よって▽2二飛には▲3三角成▽2五飛▲同桂▽3三桂▲同桂成で下図。
きれいに飛車角がさばけて居飛車桂得となりました。これはさすがに穴熊と言えども劣勢ですね。
というわけで、今回は角田流の狙い筋を見てきました。次回はこの角田流を受けて立つ我らが大将、広瀬八段の指し回しを見ていきたいと思います。それではまた〜
ピンバック: VSトーチカ 序盤研究編3「▽5四銀型の攻防」 | 四間飛車穴熊 MATRIX