今回からは下図▲4八飛以下の攻防を考えていきます。
ここでの居飛車の指し手は▽4三金の一手。
対して▲3七金が定跡の一手ですが、ぼくの過去の自戦記でチラっと「ここで▲6五歩という手があるのではないか」と書いていまして、今回はその▲6五歩(下図)を掘り下げてみたいと思います。
この▲6五歩という手の意味は、もしここで▲3七金と指すと、次の居飛車の有力手として▽5三銀(下図)という手があり、、
つまりこうなってしまうと▲6五歩と突きづらいというわけです。
そして何度も書いていますが、この四間飛車穴熊対銀冠という戦型の急所は「先に角筋を通す」ことにあると考えているので、今回の▲6五歩に行き着いたというわけです。
一手前の▲4八飛は、どうしても▲3七金とのセットと考えてしまいがちなので盲点になりやすい手ではありますね。というわけで▲6五歩の局面を再掲。
角筋を通したまま次に▲3七金とすることが出来れば、4筋に戦力を集中できており、次に▲5六銀もあるので振り飛車指しやすい形になるのではと思います。
がしかし、気になるのはやはり▽7三桂。
次の▽6五桂を防ぐには▲6六銀か▲5六銀しかないですが、▲6六銀はせっかくの角筋が塞がるので指しづらいですね。▲5六銀で悪いということであればしょうがないですけど。
というわけで▲5六銀ですが、そこで▽5五歩の決戦が気になる変化。以下一直線に進めると▲4五歩▽5六歩▲4四歩で下図。
以下は▽同金に▲5六金とかくらいでしょうけど、うん、これは振り飛車優勢だと思います。
よし、これはなかなかいけそうだなということで、最初の▲6五歩の局面から、PonaX対Ponaxで対局してもらい、その読み筋を見ながら再検討していきます。
先後共に最高棋力のR3000になる設定で指してもらいました。うちのPCでR3000出るのかは分かりませんけど、まあ2500くらいは出てるんじゃないかなと思います。
というわけで後手PonaX先生の選んだ指し手は、▽8六歩▲同歩を入れてからの▽7三桂。
指されてみればなるほど、先程のような決戦になるのであれば8筋を突き捨てておくのは普通の手ですね。
上図以下、▲5六銀▽5五歩▲4五歩と先程と同じように進みましたが、、
ここでPonaXは先程の一直線の変化も深く読んでいるようでしたが、選んだ指し手はなんと▽5三銀!
やはり8筋の突き捨てが入っていても、先程の変化は嫌だということですかね。しかしここで銀を引くのであれば▽5五歩がどうだったのかという気もしますけど。
上図以下は▲5五角▽8六飛に▲8八歩。
ここは▲7三角成▽8九飛成の変化もかなり読んでいたようで、それも振り飛車悪くない感じはしましたが、選んだのは▲8八歩。
以下▽5五角▲同銀▽3三角に、まさかの一手が、、
なんと▲9七角!!
まあ普通の手に見えるかと思いますが、なぜ「なんと」と言ったのかというと、今回は後手番でも使えるようにと、わざと▲9六歩で一手損していたわけで、、「PonaXの野郎、▲9六歩を活かしやがったぜ!」というわけだったのです。
そしてこの▲9七角がまた好手で、以下▽7六飛▲7七歩▽9六飛▲5三角成▽9九飛成▲4三馬▽同金▲4四歩で下図。
これはもう明らかに先手優勢というか勝勢に見える局面ですよね。実戦はここから100手以上続きましたが、居飛車が粘りに粘るという内容で、終始振り飛車優勢だったと思います。
ということは、先手番なら▲9六歩と突いておいてこの形に誘導できればいいのかも?とも思いますが、後手番の時の為に▲9六歩が入っていない状態でもう一戦してもらいました。
今度は▲9六歩が入ってない状態で▲6五歩(下図)
さて、対局再開です。以下▽8六歩▲同歩に、、
いきなりまさかの▽4五歩!
なるほど、これはまた手厚い一手ですね。早速修正手順?ではないと思うけど、色々な手を指してくるのがPonaXらしくて楽しいですね。
次回はこの先を見ていきたいと思います。それではまた!
今回も解説がわかりやすくて読みやすかったです!
次回も期待しています。
まだ全ての記事を読んでなくて、少しずつ読んでいます。
カレーの記事が面白かったです。
ちなみに▲97角という手ですが、
ノーマル四間飛車と居飛車穴熊での定跡の変化での部分的手筋だったと思います。
水谷さんこんばんは!
カレーの記事が一番人気というのが哀しいですが、
カレーのルウの組み合わせは「頑張れば答えが見つかりそう」
な気がするところが四間飛車穴熊に通じるかなと思っています。
▲9七角はノーマル四間飛車の変化であるんですね。
対銀冠では▲9六歩はそんなに得にならないと思いましたが、
潜在的に▲9七角や▲9七桂を作っているので
限定的にプラスになる可能性を秘めているんですね。
先手番なら▲9六歩も無くは無さそうですが、
居飛車の▽7四歩か▽9五歩との交換になるので
それらに優るかと言われると微妙ですねえ。