VS角田流(変則地下鉄飛車) プロの実戦研究2「角田流+袖飛車」

今回は広瀬六段対深浦王位の王位戦七番勝負第2局を検討していきたいと思います。

開幕戦は広瀬六段の鮮烈な四間穴熊がヒットして深浦王位がまず一敗。戦型は相穴熊でした。深浦王位としては、いきなりもう負けられない将棋となってしまった第2局、その対策が注目されましたが、まさかの角田流を投入!

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当時は角田流の存在を知らなかったので、こういう指し方もあるんだなあと思った程度でしたね。

 

以下8筋で1歩交換をしてから▲5七角に▽2二飛。

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やはり2筋を受けるこの手は必要なんですね。また、8筋の歩を受けていないですが、これはギリギリまで保留しようというもの。

先手が▲3八飛と角頭の攻めを見せた局面で▽8三歩と受けていました。

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まあ結局は受けないといけないところですね。また振り飛車側の布陣としては、上部に手厚い構えを目指してる駒組みですね。やはり▽7五歩と桂頭を攻めていくような展開を主軸にしていますね。

そして駒組みが飽和点に達して▽5五歩と仕掛けました。

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振り飛車としては、こういう上部に手厚い構えを取り、引き角で玉頭を睨みつつ動くというイメージですね。この▽5五歩は、▲同歩に▽6四金として次に▽7五歩としていこうというもの。つまり7筋を攻める前の味付けの一手ですね。

しかし以下▲5五同歩▽6四金に▲9四歩▽同歩▲9三歩▽同香▲8五桂!

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このように目標の桂馬にかわされてみるとどうなのかなあという感じ。少し振り飛車の攻めが空を切ってしまった感じですね。そしてここから激しくなります。

以下▽3五歩▲同飛▽5六歩に、、▲9三角成!!

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いきなりのフルスロットルですね。しかしここからがさらに凄いです。以下▽同桂▲9四香▽9二歩▲9九香▽8一玉▲9三香成▽同歩に▲3四桂!

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端は突破したので、お次は右サイドから。以下▽同銀▲同飛▽8六桂▲6九玉に▽4三角と指した局面。

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この手は次の▲4四飛を防いだのかなと思いますが、次の深浦王位の一手はかなり印象に残りましたね。

それが▲3三銀!!

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こんな手があるんですね。衝撃的です。以下は▽1二飛〜▽3一香と最善の粘りを見せるものの、先手の勝ち。

この王位戦では、角田流はこの1局のみしか登場しませんでしたが、明らかに深浦王位の隠し球だったと思われます。

地下鉄飛車ではなく▲3八飛〜▲3六飛と構えたのが深浦王位の工夫でしたね。▲9九飛としなくても端攻めとしては成立していたので、この指し方はかなり有力なのではないでしょうか。と言っても角を切っているのできわどそうですけど。

しかし個人的には角田流というものに出会ったことはないので、相当レアですね。もし出会ってしまったら「▽2二飛を忘れずに」と「早めに▽7五歩から仕掛ける」というところがポイントでしょうか。

本譜は結局▽7五歩のタイミングが無かったので、もっと素早く上部に繰り出す必要があると思われます。

やはり対地下手飛車と同様に▽5四銀〜▽6五歩〜▽6三銀〜▽6四銀の布陣を作るのを優先しないといけないんじゃないのかなあ。

というわけで、先にその布陣を作るとどうなるかを見てみます。

はい、こんな感じ↓

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あれれ、手が間に合ってませんね。先手の3筋の攻めが思ったより早くて、しかも上図から▽6三銀とすると▲6五飛で哀しい感じ。

▽5二金の代わりに▽6三銀としておけば、この局面で▽6四銀は間に合いますが、3筋がスカスカなのが気になりますね。

こうして見てみると、地下鉄飛車相手には左銀は自由でしたが、3筋をからめられると不自由ですね。しかも地下鉄飛車より手数が掛かっていないのでやっかいです。

これは思ったより難易度が高いですね。だから広瀬さんは▽4三銀型のまま金を繰り出す方針に切り替えたんでしょうか。今見るとこの将棋、広瀬さんの指し手がややチグハグな印象です。

冷静にこの戦法を受けて立つなら、▲3八飛に対して▽4三金ですかね。

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金銀のシフトチェンジは基本的には感触が悪いですが、コンピュータ将棋を見ていると▲3六飛型には▽4三金と構えて平然としていることが多い印象なので、がっちり3筋を受けてから▽6五歩〜▽6三銀〜▽6四銀とすれば▽7二飛もあるしいけそうな気がします。

しかし1歩持たれているので、いつでも▲9四歩▽同歩▲9三歩の仕掛けがあるからダメかもしれません。この「角田流+袖飛車」という指し方は想像以上にやっかいですね。

1歩を手にすることで飛車を9九に据える必要が無いのが大きいです。現状では具体策が思いつかないのでいったん保留で。