端歩位取り四間飛車穴熊 開発編1

以前、杉本七段著の「杉本龍端歩位取り穴熊」という棋書がありました。それは玉側の端の位を取ってから四間飛車穴熊にするという内容で、発売は2004年4月。

その当時はあまり気になる本ではなかったのですが、数ヶ月前に本棚を整理していたら発掘されました。タイトル的には四間飛車という文字は入っていないのですが、内容は四間飛車穴熊の棋書でした。

これはなかなか面白いかもしれないと思ったものの、解説されているのは▲4六歩を突かない形がメイン。つまり広瀬穴熊というよりは、オールドタイプ穴熊に端歩位取りを組み合わせたものでした。

その当時でも既に現在の定跡は整備されていたので、採用していないのには端歩の為に手が遅れる等の理由が考えられます。しかし、さらによく見るとこの棋書では、振り飛車側が後手番でのみ解説されているので、先手番と比べると3手遅れているので、やはり手数が理由なのかな。

というわけで先手番なら端の2手を咎められることも少なくなると思われるので、今回は新しく「先手番での端歩位取り四間飛車穴熊」という戦法を考えてみたいと思います。

現在のプロ棋界では、四間飛車穴熊はすでに消えつつある戦法です。そこで四間飛車穴熊党として、新たな四間飛車穴熊を模索していこうという試み第1弾!

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上図は、もし仮にオーソドックスに相穴熊の▽4四歩型対▲5八金型に進んだ場合の局面。

 

次に、通常の▽4四歩型に進んだ▲5八金通常形の局面。端歩の2手の代わりに▲4九飛と▲9六歩の2手が入っています。

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それぞれの局面をボナンザ先生に評価点を付けてもらうと、、端歩位取り穴熊は「マイナス30〜50点程度」、通常形は「マイナス150〜200点程度」でした。

どちらにしろマイナス評価なのが哀しいですが、評価点として100点程度優秀であるということが分かりました。まあ評価点が無くても、明らかに端歩位取り穴熊の陣形の方が優れているのは分かりますが、具体的に数値化されるのはいいですね。

 

▲4九飛+▲9六歩は、それぞれの手はそれなりの価値はあるものの、全く役立たない展開もあり得ますし、広瀬八段の棋書にもそれらの手に対して「様子を見る」手と書いています。

つまりそもそもこの局面自体、振り飛車の陣形として手詰まりの局面と言えます。形としてはこれ以上は望めないので、有効手である▲4九飛、▲9六歩、▲3六歩などを指して、▲4五歩や▲6五歩のタイミングを計っているだけです。

 

そして▲4九飛と▲9六歩を指す前に、端の位が取れるのであればみんな▲1六歩と指すと思います。しかし当然ながら▲1六歩には▽1四歩と指されるわけで、その交換はやや振り飛車損と思われるので自分からは指さないのですよね。

というわけで持久戦になれば確実に得な端歩位取り穴熊というのは分かりました。しかしその性質上「端歩を早めに突かなければならない」という制約があります。

この端歩のタイミングが遅すぎる、つまり相穴熊が確定した段階で突くのでは、端歩を突き返されるからですが、かといって早すぎると怖いですよね。

そういうわけなので、次回は序盤のどのタイミングで端歩を突くかをまず考えてみたいと思います。それではまた!


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