さてさて、今回からはまじめに四間飛車穴熊対引き角戦法を研究していきたいと思います。引き角戦法は序盤の駒組みから波乱含みなので、まずは序盤をじっくり考えてみます。

また、引き角戦法は基本的には後手番の戦法であるので、ひとまずは先手四間飛車穴熊対後手引き角戦法を考えていきます。

さて、まだ超序盤のこの局面ですが、早くも振り飛車側に選択が迫られています。ここからの引き角戦法側の指し手は決まっており、▽３二銀〜▽３一角〜▽１四歩〜▽５三角〜▽４二玉〜▽３一玉〜▽２二玉〜▽５二金右の流れです。

▽１四歩や▽５二金右のタイミングで多少手順前後はあるでしょうが、この基本手順こそが引き角戦法の全てとも言えます。

第１の問題は、ここから▽３二銀〜▽３一角の２手が入ると▽８六歩の仕掛けが生じる、ということ。また、引き角サイドからの視点ではさらに▽１四歩を入れ、角交換後の▲２二角の筋を緩和しておく必要があるのは念頭に置いておく必要があります。

どちらにしろ角を引かれた段階で常に▽８六歩の仕掛けがあるわけで、ここから２手で振り飛車が可能な形は以下の２つ。

A：▲７八銀〜▲６七銀

B：▲４八玉〜▲３八玉

まさか▲７八銀＋４八玉などという中途半端な形が最善ということは無いですし、ぼくが前回実戦で指した▲６五歩も不発だったことから、考えられるパターンは上の２つと見ていいでしょう。

 

まずはAの６七銀型を急ぐパターンを考えてみます。それではAの図を再掲。

この局面で▲８八飛が必要なのかどうかが、引き角戦法初心者の自分としては気になります。ここで▲８八飛としてしまえば、まず間違いなく穴熊には組めるでしょうし、無難と言えば無難なのですが、作戦負けになる可能性が高いのは否めません。

まあ不利になるのであれば▲８八飛から考える必要がありますが、まずはこの局面から他の手を考えたいところ。

普通この▽８六歩の仕掛けには６七の銀が浮き駒にならなければそんなに怖くは無いので、通常は①▲５八金左ですね。または銀自体を移動させる②▲５六銀もよくある手。あとは③▲４八玉という手が成立するのかどうかも気になります。

ではまず①▲５八金左から

部分的な形だけなら普通だと思ったんですが、、一目この形はアウトでしたね。

以下▽８六歩▲同歩▽同角ですが、、

ここで▲８八飛が利かないといけないのですが、▲８八飛には▽７七角成！が王手になるという、、

なるほど、居玉では▽８六歩の仕掛けは受けきれないのがあっさり分かりましたね。つまり②▲５六銀の選択肢も無いわけで、次は③▲４八玉を考えてみます。

ここから▽８六歩の仕掛けがどうなのか、ですが、、以下▽８六歩▲同歩▽同角▲８八飛▽７七角成▲８二飛成▽６七馬で下図。

うーん、微妙ですねえ。ちなみにこの局面、▽１四歩と▲３八玉に▲１六歩（▽５三角の途中下車との交換）が入っている形では振り飛車優勢と飯島さんの棋書に書かれていました。しかし微妙な局面ですねこれ。

ここから桂香を拾うのに▲８一龍だと、以下▽７一金▲９一龍▽８二銀▲９二龍▽７四角（下図）で龍を捕獲されてしまうので要注意です。

よって▲９一龍と香から拾って下図。

以下▽４二玉には▲２二角、▽８九馬には▲８一龍、▽７一金には▲８二歩で、どれも振り飛車優勢と思いますね。よかったよかった。

ということは▲６七銀＋▲４八玉型にはひとまず仕掛けは成立しないので、居飛車も玉を囲うことになります。なんだか長くなってきたので一回休憩、、、次回へ続きます。とりあえず今回は序盤の重要なポイントをいくつか確認できたので満足ですね。それではまた！