VS引き角戦法 プロの実戦研究2

次回の電王戦第4局の予告PVで、やけにひふみんが登場してたのが気になってしょうがないH-Iです、こんばんわ!

来年は出場したいと言ってたけど、あそこまでPVで言い切っちゃったら出ないわけにはいかないでしょうね。ひふみんの舌が回らず、どもりまくっているのをうまく活用したPVでした。そのうちYouTubeにアップされたら紹介したいと思います。

 

さて、今回からは引き角戦法のプロの実戦内容を具体的に見ていきたいと思います。

対策としてはいくつかありますが、四間飛車に振ってからであれば、向かい飛車に振り直して穴熊にするのが一番有力そうで、次に中飛車へ振り直してツノ銀中飛車のように戦うのが第2候補。

これらが有力なのであれば、もちろんダイレクトに向かい飛車や中飛車はさらに有力ですが、ダイレクトに向かい飛車にするのなら飛車を振る前に先に▲6七銀型を作る必要があるデメリットがあり、またダイレクトに中飛車にしたらそもそも引き角戦法にされることはあまり無いでしょう。

 

まあ所詮1手の差なので細かいことは考えずに見ていきます。まずは一番有名な朝日OPの藤井-羽生戦から。序盤の出だしは▲6七銀型を早めに組んでダイレクトに向かい飛車へ。

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ぼくは四間飛車穴熊+▲7八銀型で居飛車急戦を待ち構えたいのでこの序盤は指せないですが、▲一六歩の代わりに▲6八飛としてから▲8八飛でもまあしょうがないかなというところ。このあたりはまた次回以降検討していくとして、ここから藤井九段は素早く5六〜4五銀と繰り出します。

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6七が空間になるので最低限の▲5八金左だけ入れての素早い繰り出し。以下▽8四飛▲4八玉▽4四歩と進みますが、この手がどうだったか。

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この▽4四歩には▲5六銀とするしかないので、一見居飛車が手得して良さそうなのですが、やはり引き角戦法の長所は争点が無いということが一番大きいと思います。つまり、後で▲4六歩~▲4五歩とすれば争点となってしまうこの▽4四歩は悪手の可能性が高いですね。

以下、振り飛車は穴熊に組み、居飛車は銀冠に組み換えるところで仕掛けの図。

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ただの一歩交換なのですが、やはりこの▲4五歩があるのは振り飛車としては相当に大きいと思います。以下実戦は先手の藤井九段の勝ち。

序盤の素早い▲4五銀で、▽4四歩の悪手を引き出したのがうまかったですが、仮に▽4四歩を突いてくれなかったら、この動き出しは効果が薄いのではと思います。つまり決定版では無さそうですね。

 

次はこの向かい飛車穴熊の構想の始まりかもしれない、2003年の横山-飯島戦を見てみます。

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左銀を保留しながら玉の囲いを優先する指し方ですね。前回解説した通り、左銀を保留しておいても、▽5三角から▽4二玉と▽3一玉の2手の間は▽8六歩の仕掛けが無いので、その2手の間に▲7八銀~▲6七銀とすれば問題ないです。

そして以下持久戦に進み、▽8六歩に▲8八飛と受けて左銀を6八~5七へと繰り出しました。

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これが左銀を保留した効果で、通常は6七の銀を5七で使えるのがメリットです。しかしながらこの戦型では6六に銀を使っていくことになると思うので大差は無さそうですが、この指し方は覚えておきたいですね。そして中盤戦へ。

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左銀を6六ではなく4六に使い、まさかの左金が5七!~6六!へと使っていく驚きの構想です。そして下図のような感じになりました。

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振り飛車穴熊の棋譜はけっこう見ましたが、この金銀のシフトチェンジは見たことがなかったので驚きました。実戦はここから左金をうまく3筋にまで使い、先手の横山五段の勝ち。

気になったのは序盤の左銀を保留しているところですね。対飯島七段ということもあり、あらかじめ引き角には向かい飛車で受けることを想定していたように思われます。

まあでも左銀を4六に使ったとしても左金を繰り出すのでは、指しこなすのは難しい気がします。でも非常に参考になる指し方でしたね。

というところで次回は引き角戦法に4勝0敗!の中村五段の向かい飛車穴熊を見ていきます。ではまた!